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【宮下知事視察!】部活動の地域移行「むつ☆かつ」の最新レポート

全国に先駆けてむつ市で行われている部活動の地域移行「むつ☆かつ」。現在、最先端の事例として、県内外から注目を集めています。今回は、宮下宗一郎知事が視察した「むつ☆かつ」の取り組みをレポートします。


むつ市発の実践「むつ☆かつ」とは

「むつ☆かつ」とは、令和5年4月からスタートしたむつ市における部活動の地域移行の取り組みです。これまで中学校が担ってきた生徒たちの運動部・文化部での活動を、地域文化・スポーツクラブが担う仕組みへと変革していきます。文科省のガイドラインには、令和7年度までに部活動を「学校」から「地域」 へと移行していくよう示されています。むつ市ではその指針を受けて、全国に先駆けて実践をスタートしました。

「むつ☆かつ」は生徒たちへ放課後活動の場を新たに提供する、任意加入制の取り組みです。生徒たちが自分の意思で選択することを重視した活動といえます。

また、指導者は地域の中における活動経験者の方に依頼をし、「これまでの学校部活動の意義」や「暴言・体罰の禁止などのコンプライアンス」 に関する指導者研修と普通救急救命講習の受講、市から指導者資格証を発行した方が携わっています。

すでに地域移行が始まっているのは、学習クラブ、ITクラブ、野外活動体験クラブ、ダンスクラブ、家庭クラブ、美術クラブ、歌唱クラブ、ボードゲームクラブ、総合文化クラブ、サッカークラブ、柔道クラブ、水泳クラブです。今後も、順次移行を進めていく予定です。

<詳細は「むつ☆かつ」資料をご覧ください(むつ市教育委員会発行)>

https://www.city.mutsu.lg.jp/bunka/mutsukatsu/mutsukatsu2/files/entranceguide.pdf

視察の様子~田名部中学校・下北文化会館~

12月7日(木)に、宮下知事、風張知子県教育長、三戸延聖県教育改革有識者会議委員がむつ市立田名部中学校と下北文化会館を訪れ、「むつ☆かつ」の様子を視察しました。

当日活動していたすべてのクラブを回り、こどもたちが生き生きと打ち込んでいる様子を見ながら、直接生徒たちの声を聞く機会もありました。

柔道クラブの練習を見学
家庭クラブの生徒からのプレゼントに知事と教育長が感激!
学習クラブでは元田名部高校校長が指導者として数学を講義
ITクラブでは知事と生徒のタイピング対決が実現!
ダンスクラブの活動を見学

視察を終えた知事コメント

  • 「むつ☆かつ」は、こどもたち(中学生)の放課後の多様性を保障する素晴らしい取り組みです。

  • さらに、部活動を地域へと移行することで、先生方の働き方を大きく改善することができると考えています。

  • 一方で、このとおりに進むためには、学校の協力が不可欠です。校務改革と合わせて行われる必要があると考えています。

  • せっかく地域移行をしたとしても、先生方が、学校に残された一部の部活動に張り付かなければならないことやその他の校務改善がなされなければ、先生の働き方改革にはつながっていかないと思います

  • また、余力があって、部活動という活動をこよなく愛し、こどもたちに自分の得意とする分野で放課後も関わっていたいと考える先生方には報酬を提供して、協力してもらう仕組みが「むつ☆かつ」です。もちろん、完全に任意です。先生方も地域の大人として、学校とは切り離された環境で関わることが可能だと感じています。

  • 部活動の義務がなくなった先生方が授業の準備などの本来の業務(教育課程)に集中し、またその多様な生き方の中で放課後には「むつ☆かつ」に関わることが出来れば「働き方」だけではなく、「生き方」の多様性の向上にもつながるプログラムだといえると思います。

  • 「むつ☆かつ」がなければ、市内ではこどもたちの減少によって本当にごく一部の学校でしか、多様な部活動を提供できない状況にあります。また、「むつ☆かつ」がなければ、先生方の放課後時間の拘束と得意でない分野でのこども達への指導を強いられることにもなります。

  • 教育委員会、市長部局、学校・教職員、保護者、地域の全体が一体となって以上のことを理解して進める必要があるでしょう。

  • これらの点について、現状の課題を改めて整理して、令和6年度から大いに改善し、県内だけではなく全国での地域移行のモデルになってくれることに大きな期待を寄せています。

  • こどもたちの1年間は貴重です。先送りが許されない課題であることも申し添えます。未来あるこどもたちのために頑張りましょう。 

知事から校長へのメッセージ

視察後、宮下知事、風張県教育長、三戸委員は、田名部中学校の校長・成田浩之先生と意見交換を行いました。宮下知事から成田校長にお伝えしたことは下記のとおりです。

<先生の働き方について>

  • 「むつ☆かつ」は、生徒の放課後の過ごし方の多様性を確保すると同時に、「学校部活動に関わるかどうか」「『むつ☆かつ』に関わるかどうか」を教員個人の選択にゆだねることから、多様な働き方を許容することにもつながる取り組みだと考えています。

  • この取り組みが一層進むためには、学校・学校長の応援・連携が大切だと感じました。「むつ☆かつ」に関わりたいという思いを持つ先生に対してはその選択に対する「生き方の応援」を、教育課程である授業などの教育活動に集中したい先生に対しては「働き方の応援」をお願いしたいと思います。

<学校の施設利用について>

  • 学校施設を、市内の複数の中学校の生徒たちが利用することは、制度上の問題はないと思います。

  • 取り組みを一層進めていくには、学校教育に支障をきたさぬよう配慮しつつ、「むつ☆かつ」に学校施設をさらに開放していくことが肝要だと感じました。また、学校部活動で使用されている道具等の物品が、むつ☆かつでも利用しやすくなると、取り組みが一層進展すると思います。ぜひ、むつ市教育委員会や「むつ☆かつ」運営側と連携し、どのような推進の可能性があるかを検討いただければと思います。

参考~有識者会議での事例紹介~

10月4日の教育改革有識者会議において、むつ市教育長・阿部謙一氏から、「むつ☆かつ」の取り組みについてご紹介をいただいています。むつ市の教員アンケートの結果などについても触れており、宮下知事にも出演いただいています。会議内容については、下記の動画とnoteの記事からご覧ください。