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【県内見学レポート】中泊町教育委員会・中泊町立薄市小学校・五所川原市立五所川原小学校

青森県教育改革有識者会議では、今年度の提言に向けた議論の検討材料のために県内外を問わず、多様な学校の見学とヒアリング、意見交換による調査を行っています。本記事では、青森県の中泊町教育委員会、中泊町立薄市小学校、五所川原市立五所川原小学校訪問のレポートをお送りします


■中泊町教育委員会での意見交換

中泊町教育委員会では、中泊町教育長や薄市小学校長などにお話をお聞きしました。中泊町では、20年後・30年後に町にいながら世界とつながりをもって働き、生きていける子どもたちを育てる「中泊町教育イノベーションプロジェクト」がスタートしています。

「中泊町教育イノベーションプロジェクト」の一環として、2024年1月からメタバースによるオンライン英語教育が実施されています。フィリピンとつなぎ、英語を使った「ライブスタディツアー」やオンラインレッスンが行われています。メタバースを使った英語教育は、来年度は中泊町の全小中学校(小学校4校・中学校2校)で実施していく予定です。

意見交換の場では、本取組について下記のようなコメントが伝えられました。

「小さい自治体だからこそできることを行っていきたい。規模を逆手にとって教育の充実を図っていきたいと思っています」
「子どもたちはメタバースへの抵抗感はないという。スタートしたばかりなので、英語が話せるようになるところまではまだ至っていないけれど、ライブツアーでフィリピンの様子を知ることは大好きな取組となっている」
話したいことはあるけれど話せないという悔しさ・もどかしさからスタートし、英語を話したいというモチベーションにつなげていきたいと考えています」

■中泊町立薄市小学校

続いて、メタバースによるオンライン英語教育を実施している中泊町立薄市小学校の授業見学に向かいました。

授業の前には、中泊町 濱舘豊光町長から、「英語を話すことがゴールではなく、人とつながることがビジネスチャンスになるということも伝えたい」、「郷土を愛する力をベースに事業を起こすなど社会で”生きる力”を育んでいく」、「人口が減ったとしても、町の核となっていくグローバル人材を育てていくことが重要」といったお話がなされました。

4・5年生の複式学級で、子どもたちはメタバース空間に入り、フィリピンの講師とつないでコミュニケーションを交わします。「好きな食べ物は?」といった自己紹介の英会話のレッスンも行われました。

その後、ライブスタディツアーとして講師がフィリピンの市場に行き、販売されている商品を紹介していきます。講師が市場の品を手に取って「What is this?」と尋ね、「Apple!」「potato!」など子どもたちが英語で答えていきます。子どもたちは珍しい果物や野菜、料理などを見ながら、フィリピンの文化にも触れました。

チャットや絵文字でのリアクションなども入れつつ、「これはなんだ?」「◯◯じゃない?」といったつぶやきをしながら楽しく学んでいました。授業の最後に感想を尋ねると、フィリピンに興味を持ち「行ってみたい!」と語っている児童が多くいました。

本取組はスタートしたばかり。今後は、子どもたちの関心を軸にしながら、英語でのコミュニケーション能力の向上につなげていくような進化・深化が進んでいきます。

■五所川原市立五所川原小学校

五所川原市立五所川原小学校では、教務主任の前田昌顕先生によるICTを活用した6年生の理科の授業を見学し、意見交換が行われました。

授業開始10分間で前回までの復習を行い、その後、考察を深めるグループを子どもたち自身で編成。3人ほどでグループを作る子もいれば、1人で考えを深めたいという児童もいました。パソコンにCANVAが共有され、グループごとにワークシートへ記入。紙への記入のほうがスムーズな場合には、そちらを選択する子もいました。その後、それぞれのグループから発表が行われました。

発表内容のコメントを生成AIに読み込ませ、考察のまとめを3つ作成。それぞれの考察で何が足りないか、不要な部分はあるか、などを児童と吟味し、最終的なまとめを完成させました。

さらに、その内容を生成AIに流し込み、まとめ内容が歌詞になった楽曲を作成。それを流しながら、子どもたちは授業の振り返りをGoogleフォームに記入して、授業を終えました。

なお、五所川原小学校ではICTによる先生方の働き方改革も進められています。五所川原市では全市でGoogle for Educationが導入されています。そこで、職員向け資料は全てクラウドに格納され、職員会議においてもGoogleドキュメントを利用しペーパレス化を図り、その場でコメントを入れられるようにしています。教員研修では、CANVAを用いて、画面上で付箋に記入して意見をシェアする活動なども進めています。ほかの先生方からは、「最初は負荷がかかるが、どんどん便利になっていることを感じる。あとから振り返ると、大きく変わっているはず」との声もありました。

青森県教育改革有識者会議では、提言に向けた議論の検討のために、今後も県内外の学校や教育委員会への見学・意見交換を進めていきます。その内容は随時本noteにてシェアしていきたいと考えていますので、校内の取組の参考にしていただけますと幸いです。


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