【第3回】青森県教育改革有識者会議実施内容まとめ
2023年9月14日に第3回青森県教育改革有識者会議が開催されました。本記事では、未来教育デザイン代表の平井聡一郎常任委員のご講演と有識者による議論を一部抜粋してお届けします。
全会議動画はこちらからご覧いただけます。
未来教育デザイン代表平井聡一郎常任委員講演
はじめに
私は、多様な変化がある中でも、特に「人生100年時代」のインパクトは大きいのではないかと捉えています。2007年に生まれた現在の高校1年生は50%が107歳まで生きるといわれています。
これまでは、「教育→仕事→引退(第二の人生)」という3ステージでした。しかし、現在すでに差し掛かってしますが、これからは「マルチステージモデル」になっていきます。このモデルにおいては、所属組織も仕事もどんどん変わっていくので、学校段階だけで学べばよいということではなく、常に自分で自分をアップデートしていくことが求められるといえるでしょう。
こうした背景を踏まえ、新たな学習指導要領では知識伝達型の学びではなく、「主体的・対話的で深い学び」を軸にした探究学習へと舵を切りました。つまり、探究学習によって自ら学ぶ子どもを育てるということを大きな方針としているのです。
保護者も教師も「これまでは◯◯だった」といった過去の経験からではなく、未来の教育を見据えて変わらなければいけないタイミングに差し掛かっているといえます。
国による教師を取り巻く環境整備についての緊急提言
教育が変わることを国も後押ししようとしています。8月下旬から9月にかけて、働き方改革をベースとした教育の変革について、中教審が緊急提言、大臣メッセージ、文科省の通知と続きました。国も後押しすることを表明し、その上で、学校・教育委員会はできることを直ちに実行してくださいと伝えています。また、地域・保護者へも理解と協力を求めています。
提言のポイント①学校教師が関わる業務の3分類の徹底
提言において最も重要なことは、「基本的には学校以外が担うべき業務」「学校の業務だが、必ずしも教師が担う必要のない業務」「教師の業務だが、負担軽減が可能な業務」の3つに分類し、削減できる業務やサポートできる人員を加えるなどして、精査するということです。
※学校の働き方改革については、第2回会議内容も是非参照ください。
提言②学校行事について精選・重点化、準備の簡素化・省力化
多岐に及ぶ学校行事を精査していく方向性も示されています。例えば、コロナ禍においては卒業式の予行練習などは実施していなかったにも関わらず、現在はそれを元に戻そうという傾向がある。「やらなくて済んだことはやらない」という判断をしていくことが重要でしょう。
提言のポイント③ICTの活用による校務の効率化
手間暇かけることに価値を置くのではなく、テクノロジーで代替できることはどんどん置き換えていくという方針です。これらにより捻出された余白を、子どもたちに関わる時間や授業を変革していく時間に充てていくという発想といえます。DXは単なるデジタル化を指すのではなく、学校そのものが新しくなるための大きな変革を意味していると考えています。
ICTの活用により主体的な学びを実現する
ICTによって、学校の業務や学びが変わる可能性が広がりました。一方で、これまでも存在していた「自治体間の格差」「学校間の格差」「教室間の格差」がひらく傾向も生まれています。第一歩として重要なことは、自身の自治体や学校がどのような立ち位置にあるのか、現状を把握することです。今回はいくつかの指標を紹介するので、自校や教師自身がどのような立ち位置にあるか確認してほしいと考えています。
◾️生徒エージェンシーの視点
ICTは活用することが目的ではなく、授業が変わり、子どもたちの主体的な学びが実現することが目的です。OECDが2030年に向けた生徒エージェンシーを出しています。これは生徒たちが授業の中で、どれだけ自分たちで思考して判断して取り組んでいるかを示す指標となっています。この指標を教師が見ると、「自分の授業はこれくらいの段階ではないか」ということを感じ取ることができます。例えば、レベル0は教師が活動を主導し、子どもたちが考えたり意志決定をしたりする場面を与えていないことを意味します。
では、どういう授業がよいのかというと、例えば、レベル7では「若者が主導し、方向性を定める」と示しています。これは教師がアドバイスをして、子どもたちが考えて、意思決定をしている状態です。
自身の授業を顧みて、どれくらい子ども主体の学びを実現できているかを見極める一つの指標としてほしいと思います。
◾️ICT活用の視点
全国学力・学習状況調査の質問紙調査を参考にすると、学校でICT端末がどのように使用されているかを把握することができます。小学校の状況を見てみると、「一人一台の端末を授業で活用している学校の割合」は、「ほぼ毎日」と「週3日以上」を合計すると9割以上となっています。高い割合ではありますが、1日1回使えば毎日使ったことになるわけなので、ここは100%を目指していかなければいけない項目ではないかなと思っています。
◾️ICT活用の4段階の視点
デジタルの活用においてよく知られる4段階モデルがあります。例えば、「何かの代わりに使っている」という「代替」は一番下のいわば4級にあたります。では、学校がどのステージにあるか、それぞれに当てはめて考えてみましょう。
4級の「代替」は学校においては、「自分で調べる場面でICT機器を使用している学校」だと捉えることができます。日常生活で、わからないことがあれば検索するのはあたり前ですよね。それをやっている学校の割合は7割ほどでした。「子どもたちが勝手に調べたら困る」という主体性を制限していると、この割合が伸びません。
続いて、「自分の考えをまとめ、発表・表現する場面でICT機器を利用している学校」という項目を見ていきましょう。自分の考えをまとめたり表現したりする授業はこれまでも行われてきました。ここでICTを使えば、記録を残せますし、画面で見せて共有もしやすくなるので明らかに便利になります。つまり、デジタル活用の4段階でいうと3級の「拡張」に差し掛かってきます。調査結果を見ると、これを毎日行っている学校は15%ほどで、週3日以上は4割ほどになります。ちなみに、上部の赤い棒グラフは月1回未満を指しています。つまり、ほとんど使っていない学校もあるということです。
DX化の4段階の図では、「拡張」と「変容」の間に点線があります。これはそこに壁があるということを意味しています。「代替」「拡張」に関しては、従来型の”先生と子ども”という「縦の学び」でも活用できました。そこから2級レベルになると、子どもたち同士の「横の学び」に「変容」させられているかが問われます。
2級の「変容」の状況とは、「児童同士がやり取りする場面でICTを活用している学校」といえます。例えば、全国学力・学習状況調査の国語では、「ドキュメントで文章が共有され、子ども同士でコメントを入れている様子が見て取れる問題」が出されいます。これまでの紙の状態でこうした取り組みをしようとすると、作文を並べて、子どもたちが付箋を持って動き回り他の子たちが書いたものへ書き込みをしていくという労力と時間のかかる活動になっていました。ICTのチャットやコメント機能により、子ども同士のやり取りを手間をかけずに行うことができるようになっていきます。
こうした活用をしている割合はどれくらいかというと、先ほどの項目とあまり変わらず、毎日行っている学校は15%ほどで、週3日以上は4割ほど。ただし、月1回未満が大きく増加します。つまり、活用できている学校とできていない学校の大きな格差がここにあるのです。私はこの2級の「変容」を突破することで、学びが変わる、学校が変わるきっかけになるのではないかと思っています。
では、1級の「再定義」とはどういったものか。これは「一人一台端末を家庭で利用できるようにしている学校」と捉えています。ただ持ち帰るだけでは意味がなく、家庭で活用していることが大切です。この項目については差が激しく生まれています。「毎日持ち帰り・利用」と「時々利用」を合わせて2割強なのに対して、「非常時のみ持ち帰り」(クリーム色の棒グラフ)「持ち帰り禁止」も多数にのぼる。常時には家で使っていないのに、緊急事態のみに持ち帰り、果たして学びを継続させることができるのか、という懸念もあります。
なぜ、「一人一台端末を家庭で利用できるようにしている学校」が、DX化の4段階の1級「再定義」に当たるかというと、「学校でしかできない学びと、家庭での方が効果的な学び」を定義することにつながるからです。そうなると、例えば、学習動画を見るなどは家で行い、学校ではそのテーマについて話し合う活動をするといった時間の使い方ができるようになっています(反転学習)。また、自宅では自分のペースで巻き戻したり停止させたりしながら視聴することができます。つまり、動画での学びは自宅学習の方が効率的だといったことが見えてくるのです。「学校での学びとはどうあるべきか」を考えるので、これこそ学校DXという「再定義」につながるのではないかと考えています。
注意点としては、教科担任制の場合、各教科から自宅学習を課していくと、過多になりすぎる場合があることです。教師間で話し合い、適切な課題量を検討していくカリキュラムマネジメントが求められるでしょう。
◾️学びの内容の視点
全国学力・学習状況調査の調査問題は、国が示した学力観の一つです。そして、「子どもたちがこうした問題が解けるようになる授業をしてください」というメッセージでもあります。つまり、教師はこの問題を解いてみること、そして保護者の方は自分が受けてきた教育とどう変わっているのかを垣間見ることに活かしてほしいと考えています。
この調査の結果は、子どもたちの学力云々ではなく学校の指導を省みる機会として捉えていくことが重要です。ここで立ち位置を把握して、次の授業改善につなげていくために使用していくのです。
また、この延長線上にあるのが、大学入学共通テストです。小中高大と学びが変化している状況を感じ取れるはずです。ただ、一点心配なのが、公立高校の入試問題です。国全体の動きを鑑みると、高校入試の段階においても、思考力・判断力・表現力などをしっかりと見とれる問題にしていく必要があるのではないでしょうか。
令和5年度の全国学力・学習状況調査の傾向としては、
・数式による計算問題がない
・問題文が長くてわかりづらい
・記述問題が多い
・表やグラフが多い(それを基に考えていく力が問われている)
これらの傾向から考えられる求められる力は、
・論理的な思考力
・読解力
・他教科などとの関連(教科担任の教師は他教科の問題を解くことで関連性を見出すことができる)
・情報を選択し分析する力
・正解を出すよりもプロセスが重視されている(答えを出すよりも、その答えにどうたどり着くかが問われている)
◾️求められるのは探究型(PBL型)の学び
従来の教師主導の一斉授業は、「知識伝達(インプット)7割 : 再生・再現(アウトプット)3割」となっていました。探究型の学びになると、「知識伝達(インプット)3割 : 再生・再現(アウトプット)7割」となります。今後求められる力を身につけていくには、こうした探究型の学びに移行していく必要があります。
ただ、気をつけなければいけないのは発表して終わり、いわゆる「アウトプットのたれながし」の状態に陥ることです。重要なことは、他の子どもたちから適切なフィードバックを得るサイクルを回すことです。誰かのアウトプットは他の子どもにとってはインプットになります。このサイクルがどんどん回り出せば、必然的に教師の役割は小さくなり、子どもたち主体となる授業へと変わっていきます。
これを実現するためには、まずは「ちっちゃなPBL」を回すことです。最初は1時間の授業の中だけで完結するような取り組みからスタートしたらいいのです。PBL(Project Based Learning)の手前に、PBL(Problem Based Learning)という問題解決型の学習に取り組んでいきます。
「ちっちゃなPBL」ができるようになったら、単元など学習のまとまりごとで行う「中くらいのPBL」を回せるようにし、その後、「総合的な学習の時間」で取り組むような「大きなPBL」を実現させていく。日々の活動では、子どもたちの負荷も考慮に入れながら、「ちっちゃなPBL」「中くらいのPBL」「大きなPBL」を組み合わせていくカリキュラムマネジメントが求められます。
◾️授業以外のPBL
授業以外の視点で言うと、学校行事をPBLとして、子どもたちに委ねていくことが大切です。現在のあまりにもたくさんある行事を、全て子どもたち主導で行うことはまず無理でしょう。必然的に、やらなければならないことに絞りこまれていくはずです。委員会も同様です。特別活動は自治的な活動なので、教師が頑張って現状を維持するものではなく、子どもたちが考えて行動していくことが最も重要です。
現在は過渡期です。やってみなければわからないことが多い。やってみて効果があったら広げていき、やってダメであれば撤退する。これを青森県全体で実践できるといいのではないかと思っています。
有識者による意見交換(敬称略)
■学校に変化を起こしていくために必要なこととは
学校が変わっていく時に、校長先生が理解してくれない、あるいは現場の先生の理解を得られない、または保護者の理解がもらえないといったことがあると思います。「知る」ということが第一歩だとは思うのですが、その先にどうしたら進めていけるのでしょうか。(藤岡慎二 産業能率大学経営学部教授)
「知る」のレベル感は意識しておく必要はあると思います。「なるほどね」という実感値を伴った「知る」を得られることが重要ですよね。例えば、保護者に伝えたいならば「どんどん学校に子どもたちの様子を見に来てください」と招きましょう。子どもたちが前のめりになって主体的に対話している姿を見ると、保護者はその効果を実感します。また、ICTでいえば、校長先生にも現場の先生にもとにかく機器に触ってもらって、「クラウドを使ってやり取りするとはこういうことなんだ。便利だね」と体感してもらい、自分の考えがこう変わったということを他者に話すなどの研修をします。染みついた考え方を変えていくことは手間暇がかかりますよね。(平井聡一郎 未来教育デザイン代表社員)
よくミドルリーダーの先生から、「管理職に取り組みについて理解してもらえない」という相談を受けます。その時には、平井さんがおっしゃったように「子どもたちの変化を見せるのが一番よ」と伝えています。保護者も、子どもが学校の授業が楽しくなって「学校でこんなことをやったよ!」と話している姿を見たら考え方が変容していきますよね。大人を変えるのには時間がかかる。子どもたちが変わることがいいきっかけになるんです。(副議長・森万喜子)
変化が起こる学校にはどんなプロセスがあるかを研究していました。大きくはトップダウンとボトムアップに分けられます。トップダウンの際には、「Why」の部分、つまりリーダーがビジョンを示すことが重要です。特にデジタル化においてはこうしたことが起きがちだと思っていて、今日平井さんからお話があったように「学びの質を変えていくんだ」といった何のために使うのか示すことが重要なんですよね。さらに、リーダーが一貫性を持つ必要もあります。ただ、校長先生は短いスパンで変わっていくので、一貫性を担保するには教育委員会や首長の役割が鍵となると思っています。
一方、ボトムアップでいうと、森先生がおっしゃった通り、「この変化は子どもたちにとって意味があるものだ」と体感できることが大切なんです。そのためには、アーリーアダプターである1、2割の先生の授業を校内で見るようにすること。互見授業のハードルを下げる必要があるでしょう。さらに、「自分のこの授業には取り入れられそうだ」という具体的な手応えを得られることもポイントです。
また、次期管理職になっていく方々はこうしたチェンジマネジメントの専門性を持っていくことが求められていくのではないかと思っています。(讃井廉智 ライフイズテック取締役、最高AI教育責任者(CEAIO))
■地域との協力体制を築いていくために
三分類の「基本的に学校以外が担うべき業務」の「④地域ボランティアとの連絡調整」は、代替手段としてどんな方法がありますか。(三戸延聖 弘前大学教育学部教職実践専攻・教職大学院教授)
地域のコミュニティの質によって異なります。例えば、石川県能美市では、学校のことも地域のこともよくわかっている地域住民の方が地域コーディネーターを担っていました。(平井聡一郎 未来教育デザイン代表社員)
杉並区では平成11年から教育委員会に未来の教育を考える専門の職員を3名配置して、本気で教育の変革に取り組んできました。その文脈から平成14年に学校教育コーディネーターという存在が生まれます。登校時間から放課後、授業内、土曜日など多岐にわたって、「こんなことができる人材がほしいね」という部分に人材を配置しました。私の組織で地域コーディネーターを研修し、各学校に地域コーディネーターが4、5名配置される状況になっています。例えば、授業の中でのゲストティーチャーだけではなく、身体測定や体力測定、交通安全指導、低学年の給食の時間などにも配置されています。それぞれの専門性や得意を活かしていけるようになっており、私がCS(コミュニティ・スクール)の委員をしている学校では、放課後のコーディネーター、授業のコーディネーター、図書室を司書と一緒になって活性化させていくコーディネーターなどがいます。
この配置の実現には、環境整備も重要だったと考えています。教育委員会が主導して、コーディネーター専用の電話やパソコン、プリンタ、鍵のかかるロッカーなどを学校に整えました。他にも、冷蔵庫やポットなどが用意されている学校もあります。こうしたものがあると、地域の方に来てもらった時にお礼を伝えながら、お茶を出して、感想を聞けるんです。この会話に、校長先生などが入れば、「こんな連携もしていけるといいかもね」といった未来につながるコミュニケーションができます。
また、子どもたちにとっても、学校に先生以外の大人がいるということは大きなメリットですよね。(生重幸恵 特定非営利活動法人スクール・アドバイス・ネットワーク理事長)
※参考資料
https://www.suginamigaku.org/corner/feature/conversation/ikushige01.html
■働き方改革を進めていくには
働き方改革においては、いかに複雑性をなくしていくかが重要だと考えています。もちろん各校の状況に合わせた創意工夫も大事ですが、そうすると複雑性は高まります。例えば、集金業務や保護者との連絡業務など、どこの学校でも発生していて苦労している共通性がある業務に関しては、予算をつけて教育委員会が仕組みを作っていくことが重要だと考えています。(讃井廉智 ライフイズテック取締役、最高AI教育責任者(CEAIO))
讃井さんがおっしゃっていた複雑性を仕組みで解決するということを土台としながら、それでもどうしても学校ごとの複雑性が出てしまう場合にはどう埋めていけばよいのでしょうか。(藤岡慎二 産業能率大学経営学部教授)
管理職が養成の段階からマネジメントの力を高めていくということは大前提となると思います。また、複雑性が高い問題は「これをやれば全てが解決する」という共通する手段を見出すことは難しい。だから、地域の手を借りながら、多方面から施策を打っていく必要があります。その打ち手が総合して大きな変化につながっていくということではないでしょうか。(平井聡一郎 未来教育デザイン代表社員)
■高校入試の変革について
平井先生のお話の中に、全国学力・学習状況調査や大学入学共通テストなどの内容に比べて、高校入試の変化の遅さという指摘がありました。確かに、計算問題も出題されていますし、この点をどう変えていけばよいのでしょうか。(三戸延聖 弘前大学教育学部教職実践専攻・教職大学院教授)
「高校に入って学んでいくためには最低限こんな力が必要だ」ということを測定するのが高校入試ですよね。これは学力観の問題になってくるわけです。本当に、今、この時代に単純な計算ができる力が求められているのか、ということです。だから、青森県としてどんな力の育成に重点を置くのかという方針によって、高校入試の内容も変わってくるはずですよね。(平井聡一郎 未来教育デザイン代表社員)
■ICT活用が広がらない阻害要因
県比較のグラフを見たときに、青森県も含めて活用が広がっていない自治体における阻害要因とはどういったことなのでしょうか。(副議長・森万喜子)
コメント禁止や持ち帰り禁止など、子どもに「制限をかけている」ということでしょう。活用が広がっているところでは、子どもにある程度自由に使ってもらっているんです。そうすると、先生が「これをこうしてやりましょう」という指示を出す前に、子どもが「このアプリを使ってやるといいよね」と自分で判断できるようになっていく。どれだけ子どもたちに委ねることができるかが大事なんです。新しいことを始めると失敗もあります。でも、学校が腹を括ってやっていくしかないんです。管理職の中には、ICTがわからないあまりに不安を抱いて禁止しているケースがあります。そういう意味では、最低限の知識も必要でしょうね。(平井聡一郎 未来教育デザイン代表社員)
おわりに
それぞれの学校によって立ち位置は異なります。ビジョンを持って、やれるところからどんどんやっていくことが一番大事です。そして、働き方改革は国が後押しをしていることでもあるので、学校が本質的にすべきことに集中するために、そして子どもたちが主役になっていくために、優先順位をつけてどんどんやっていきましょう。(平井聡一郎 未来教育デザイン代表社員)
「できることからやろう」というのは有識者会議委員の総意でもあります。そこで、現在すぐに学校で取り掛かれることを募っているので、近いうちに「明日にでもできること」についての情報を公開していきます。誰かの指示を待つのではなく、自分で変えていこうというマインドセットにつなげていくような情報発信をしていきたいと考えています。(議長・大谷真樹)
第4回青森県教育改革有識者会議は9月25日に開催予定です。こちらも開催後、動画と記事でご紹介いたしますのでぜひお楽しみに!
▼平井聡一郎さんの書籍はこちら▼
Written by 教育ライター佐藤智